バンコクに来てから、シャワーのたびに抜け毛が増えた気がする。
これ、neveのお客様からとても多くいただく相談です。特に、ご主人の赴任に帯同されて1年以内の方から「日本ではこんなことなかったのに」という声を聞くことが多い。
先に結論をお伝えします。これはあなたのケアが悪いわけでも、年齢のせいでもありません。 バンコクの環境が、日本とは根本的に違うからです。
渡航後3〜6ヶ月に抜け毛が増えるのは、医学的に説明できる
まず、「なぜ引っ越してから数ヶ月後に急に抜け毛が増えるのか」という疑問から。
髪には成長期・退行期・休止期という3つのサイクルがあります。通常、成人の頭皮では約85〜90%の毛髪が成長期にあり、1日50〜100本程度の抜け毛は正常な範囲です。
ところが、身体が急激な環境変化や強いストレスにさらされると、生命維持を優先するために毛髪への栄養供給を一時的に止める防衛反応が起きます。成長期だった毛包が一斉に休止期へと移行するのです。
そして休止期に入った毛髪は、すぐには抜けません。約3〜4ヶ月間そのまま頭皮にとどまり、新しい毛が生えてきたときに押し出されるようにして抜け落ちます。
つまり、バンコクへ渡航してからちょうど3〜6ヶ月後に、突然ごっそり抜ける という現象が起きやすい。これは「休止期脱毛(Telogen Effluvium)」と呼ばれる、はっきりとした医学的なメカニズムです。多くの場合、環境に身体が慣れてくると自然に落ち着いていきます。
バンコクの4つの環境要因が、髪と頭皮に何をしているか
問題は、「一時的な反応」で終わらないケースがあることです。それはバンコク特有の環境が、髪と頭皮に継続的なダメージを与え続けているから。
具体的には4つの要因があります。
① 水の問題(最も影響が大きい)
東京の水道水は硬度50〜60 mg/Lの軟水です。バンコクは100 mg/L以上の中硬水〜硬水。さらに塩素濃度も高い。
硬水に含まれるカルシウムやマグネシウムは、シャンプーの成分と反応して「金属石鹸」という不溶性の膜を形成します。これが毛穴に蓄積すると、正常な皮脂の排出を妨げ、頭皮の慢性的な炎症へとつながります。
また、配管などから溶け出した微量の銅イオンが毛髪に蓄積すると、日光(紫外線)にさらされたときに強力な活性酸素を発生させます。これが毛髪の内部タンパク質を破壊する「フェントン反応」です。バンコクで髪が傷みやすい、大きな理由のひとつです。
乾季(12〜4月)には別の問題もあります。チャオプラヤ川への海水逆流により、水道水の塩分濃度が一時的に大幅に上昇します。シャワー中に塩味を感じるレベルになることもあり、浸透圧によって髪の内部から水分が奪われます。
② PM2.5・大気汚染の問題
バンコクのPM2.5年間平均濃度は約24 µg/m³。WHOの安全基準の約5倍です。乾季はさらに悪化します。
PM2.5の粒子は毛穴の直径よりはるかに小さいため、頭皮の深部まで侵入します。細胞レベルでは、毛髪の成長に関わるタンパク質(β-カテニン)が減少し、毛包の細胞分裂が止まるという研究データがあります。
つまり、大気汚染は「毛包の工場を止める」働きをしているのです。
③ 気候(高温多湿+強冷房)の問題
屋外は気温35℃以上・湿度80%以上。室内は強冷房で22℃前後。この往復を1日に何度も繰り返します。
高温多湿の屋外では皮脂が過剰に分泌され、酸化して頭皮に刺激を与えます。加えて、熱帯の湿度はマラセチア菌の異常増殖に適した環境です。フケや脂漏性皮膚炎の原因になるこの菌が増えると、頭皮に炎症が起き、毛根が弱ります。
一方、冷房の効いた室内では頭皮が急激に乾燥し、バリア機能が低下します。「外はべたつくのに、頭皮の内側はカラカラに乾いている」という状態になります。
④ 紫外線の問題
バンコクの紫外線指数(UVI)は年間を通じてほぼ11〜12以上。東京の夏ピーク(8〜10)より高く、しかも年中続きます。東京には「回復期間」となる冬がありますが、バンコクにはそれがありません。
紫外線は毛髪のタンパク質を内部から破壊するだけでなく、毛包そのものにダメージを与え、毛髪の成長を促す物質(IGF-1)を減少させます。これにより、本来なら成長を続けるはずの毛包が早期に休止期へと移行してしまいます。
一時的なものか、慢性的な問題かの見分け方
休止期脱毛は、多くの場合6ヶ月以内に自然に落ち着きます。目安になるのは以下の点です。
一時的な休止期脱毛の特徴
– 抜け毛が頭皮全体から均等に増えている(特定の部位だけでなく)
– 抜けた毛の根元に、白くて丸い球状のこん棒状の形がある
– 渡航から3〜6ヶ月後に始まり、徐々に落ち着いてきた
慢性化のサイン(対処が必要)
– 6ヶ月以上、抜け毛が減る気配がない
– 頭皮の痒み、赤み、脂漏性皮膚炎が続いている
– 抜けた毛が全体的に細くなってきている
後者のサインが出ている場合、環境ダメージが慢性化している可能性があります。
バンコクの環境に合わせたホームケアのポイント
「日本でやっていたケアをそのまま続ける」だけでは、バンコクでは効果が出にくいことがあります。日本の製品の多くは、軟水・四季がある環境を前提に作られているからです。
シャンプーの選び方
最優先で確認したいのが「キレート成分」の有無です。成分表示(Ingredients)に以下が含まれているかチェックしてみてください。
- EDTA(Disodium EDTAまたはTetrasodium EDTA)
- Phytic Acid / Sodium Phytate(フィチン酸)
これらは金属イオンを化学的に捕捉して洗い流す成分です。通常のシャンプーではバンコクの水で蓄積したミネラルや重金属を落としきれません。
キレート成分入りのシャンプーを週1〜2回使い、残りの日は弱酸性のマイルドなシャンプーを使うのが、バンコクでの頭皮ケアの基本的な考え方です。
シャワーヘッドの見直し
塩素と重金属を物理的に減らすには、シャワーヘッドフィルターの導入が効果的です。完全な軟水にはなりませんが、頭皮バリアを破壊する残留塩素を大きく減らせます。
外出前後のケア
PM2.5対策として、帰宅後はなるべく早めにシャンプーを。汚染物質が頭皮に定着する前に洗い流すことが大切です。
紫外線対策は、日傘や帽子が一番確実です。帽子が難しい場面では、頭皮用のUVスプレーも選択肢のひとつです。
ケアを変えても気になる場合は
ホームケアで対処できる範囲と、サロンでのケアが必要な範囲があります。
特に硬水によって頭皮の奥に蓄積したミネラルや金属イオンは、日常のシャンプーだけでは落としきれないことがあります。定期的にサロンでデトックスケアを取り入れることで、毛穴の状態をリセットできます。
「バンコクに来てから髪や頭皮の調子が変わった気がする」という方は、まずLINEでご相談ください。状態を聞いた上で、今の頭皮環境に合ったケアをお伝えします。
neve hair salon
バンコク在住の日本人・タイ人女性の髪の悩みに向き合うサロンです。
全ケミカルメニューに薬剤分解ケア(エートス)を含み、施術後の残留薬剤を毎回除去しています。
▶ LINEでのご相談・ご予約はこちら