染めたてのあのピンク系の髪色、鏡の中でうっとり眺めた記憶はありませんか。
でも2週間もすると、なんだか透けた黄オレンジになっている。。。
シャンプーのせいかな、水が違うせいかな、と原因を探しても答えが出ない。
そんな経験がある方に、今日は色の消え方の順番についてお話しします。
赤だけが先に消えていく理由
結論から言うと、ピンクがオレンジになるのは失敗でも事故でもありません。色を作っている粒の性質の違いが、決まった順番で色を変えているだけです。
ピンク系を作るカラー剤には、いくつもの色の粒が混ざっています。ベースになる茶色や黄色の粒と、赤みを足すための赤い粒です。この二種類、髪の中での居心地がまったく違います。
茶色や黄色を作る粒は、髪に塗った直後は小さく、色もついていません。そこに薬剤が反応することで粒同士がくっつき合い、大きく育っていきます。細かいビーズが糸でどんどん連結されて、大きな塊になっていくようなイメージです。塊が大きくなると、髪表面のうろこ状の組織(キューティクル)の隙間より大きくなり、外に出られなくなります。だから茶色や黄色は長く髪に残ります。
一方、赤みを出す粒はこの「くっついて大きくなる」反応をほとんど起こしません。最初から色がついていて、小さいまま髪の中に留まります。小さいということは、入るときは楽だけれど、出ていくときも同じくらい楽だということです。シャンプーのたびに水がわずかに髪を膨らませるだけで、赤の粒はするりと外へ流れ出てしまいます。
ここにもうひとつ、見落とされがちな要因が重なります。光による色の分解です。色の粒は特定の色の光を吸収して発色していますが、赤みを担当する粒の構造は光を浴びると壊れやすい性質を持っています。紫外線や強い照明を浴び続けると、粒の中の結びつきがちぎれて色を保てなくなります。黄色や茶色の粒、そして髪自体が元々持つ黄み(メラニン)は、この光による分解に対して比較的壊れにくい性質を持っています。
つまり赤の粒は「流れ出やすい」うえに「光で壊れやすい」という二重の不利を抱えています。染めた直後は赤の発色が強く美しいピンクに見えますが、2週間もすれば赤の量が急激に減り、もともと下に隠れていた黄色や茶色が表に出てきます。赤と黄が混ざって見える色、それが「黄オレンジ」の正体です。さらに1ヶ月も経つと赤みはほぼ消え、黄色っぽい茶色に落ち着いていきます。
neveの相談では、渡航1年未満のお客様と3年を超えたお客様とで、色落ちの感じ方に差が出ます。来たばかりの方は日本での退色ペースを基準にしているため、バンコクでの変化を「思ったより早い」と感じることが多く、長く住んでいる方は環境に慣れて落ち着いて捉える傾向があります。紫外線の強さが日本の数倍になる時期もあり、光による色の分解が普段より速いスピードで進むことが背景にあります。汗や水質の違いも、粒の流出を後押しします。環境要因については別の記事で詳しくお伝えしていますが、赤が消えやすいという性質そのものは、どの環境でも共通しています。
家でできること、退色の流れを味方にする
このメカニズムを知っていると、ホームケアの考え方が変わってきます。
染めたての赤みをできるだけ長く保ちたい時期は、色の反対色を補うことで見え方を調整する仕組みを利用する方法があります。髪がダメージを受けた部分はマイナスの性質を帯びやすく、そこにプラスの性質を持つ色の粒が引き寄せられて付着します。流れ出た赤を、少しずつ足していくイメージです。
けれど、この方法にも限界があります。どれだけ赤を補っても、いずれ黄色やオレンジが強く出てくる時期が来ます。そのタイミングで発想を変えるのがポイントです。赤を足すのではなく、出てきたオレンジや黄色を打ち消す方向に切り替えます。色の関係でいうと、黄色の反対は紫、オレンジの反対は青にあたります。補色にあたる色味を利用すると、表に出てきた黄ばみと打ち消し合い、色がまろやかに落ち着いて見えるようになります。
赤みを補う時期と、打ち消す時期。この二つを使い分けられると、同じ退色でも見え方がまったく変わってきます。
サロンでできること、染める前に確認しておきたいこと
自宅でのケアだけでコントロールできる範囲には限りがあります。退色の順番そのものは変えられなくても、染める段階での工夫次第で、オレンジになったときの見え方を穏やかにすることは可能です。
このとき大事なのは、薬剤の強さや処方の正解を一律に語らないことです。同じオーダーでも、カラー履歴が浅い髪と、何度も脱色を繰り返してきた髪とでは、色の粒の抜け方がまったく違います。履歴が浅い髪は比較的長く赤みが残る一方、繰り返しカラーをしてきた髪はキューティクルが開きやすく、赤の流出がより早く進む傾向があります。髪の状態や色素の残り方を見た上で、退色後の色まで見据えて調整できるかどうかが、仕上がりの分かれ目になります。
もしオーダーの際に伝えられる言葉があるとすれば、「色が落ちていく途中の色も気にしています」という一言です。これだけで、髪の状態を踏まえた提案を引き出しやすくなります。どんな調整が自分の髪に合っているかは、写真や状態を見てからの話になりますので、気になる方はLINEでの相談を活用してみてください。
消えていく途中も、計算できる
neveの相談で最も多く聞かれるのが、「オレンジになるのが怖くて赤茶を避けている」という声です。
でも実際には、色が消えていく順番はあらかじめ分かっています。分かっているということは、備えられるということでもあります。
neveが現場で繰り返し確認してきた事実は、赤茶の色落ちが失敗ではなく、決まった順番で進む変化だということです。染めたての色だけでなく、1ヶ月後にどんな色に着地するかまで含めて髪色を組み立てることで、退色の途中経過も見込んだ提案ができています。
記事を読んでも、まだもやもやが残るかもしれません。
そんなときは、サイト右下の猫のマークのAIチャットで気になることを聞いてみてください。
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